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お知らせ・コラム

ライフステージと法的制度(その2)

2024.02.07

コラム

ライフステージと法的制度(その2)

前回に引き続き、超高齢社会における日本において、ライフステージに応じて備える法的制度をご紹介します。 今回は、遺言と民事信託です。

 

〇 ライフステージと法的制度

この図は、左から右に向かって時間の経過を示したものです。判断能力が十分ある状態から始まり、判断能力の低下、相続の発生、さらにその先の世代への承継へと流れていきます。そして、それぞれの時間軸において利用対象となる法的制度を示しています。

 

〇 遺言 

遺言は、生きている間に、自分の死後に残された財産(遺産)を誰に残しておくかを書き記した文書です。遺言を作成することで、どの財産を誰に承継させるのかあらかじめ決めておくことができます。

例えば、自宅と預貯金を持っている人が亡くなり、相続人が長男と長女の2人である場合を考えます。遺言が作成されていない場合、遺産である自宅と預貯金をどのように分けるかは長男と長女が話し合って決めなければなりません。このとき、長男の判断能力が不十分で、自分で協議することが困難であったとすると、長男を支援し、代わりに遺産分割協議を担当する後見人を選任する必要が生じます。

これに対し、遺言を作成し、自宅は長男に、預貯金は長女に相続させると決めておけば、このような話し合いをするまでもなく、長男は自宅を取得し、長女は預貯金を取得することができます。

また、遺言では遺言執行者といって、相続手続きを担当する人を指定しておくことが可能です。遺言執行者が選任されると、相続人に代わって必要な手続きを取りますので、相続手続きの負担が軽減されます。

 

〇 民事信託

民事信託は、高齢等の理由で自分では財産を管理することに困難を感じつつある人が、信頼できる親族に自己の財産の管理を委ねるといった形で活用されている制度です。単に財産を預かって管理するのとは異なり、信託することによって対象財産の名義が受託者(財産管理をする人)に移転することから、委託者(財産を託した人)が特殊詐欺等の被害に遭うことを防止したり、信託後に委託者の判断能力が低下してしまった場合でも受託者において経済取引を継続することが可能となります。また、信託財産から利益を受ける受益者を指定することができますので、委託者以外の人に信託財産から給付をすることも可能です。受益者は交代することもできますから、当初受益者を委託者自身、委託者死亡後の受益者として障害のある子、さらに子が死亡した場合には他の親族やお世話になった施設を受益者に指定することで、他の制度では実現が難しい柔軟な財産承継も可能となります。

このように、民事信託は、信頼できる家族等に、生前のうちから財産管理を委ね、予め指定したとおりに、死後の財産承継についても希望を叶える制度ということができます。公正証書で作成された民事信託の件数は、ここ5年でほぼ倍増しており、今後も民事信託の利用は進むものと思われます。

 

 

執筆者プロフィール

弁護士 杉山 苑子

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