
成年後見制度のポイント その2
前回のコラムに続き、成年後見制度のポイントを見ていきましょう。
希望した人が後見人に選任されるのか、費用はどのくらいかかるのかなど、よく聞かれる疑問点についてお答えします。
〇 誰が後見人に選任されるか
法定後見の場合、誰を後見人に選任するかは、家庭裁判所の専権とされています。申立人が自由に後見人を選べる設計にはなっていません。この点が、法定後見利用を躊躇させる理由の一つと言われています。
現状では、親族が後見人に選任されるケースが約2割、非親族が選任されるケースが約8割となっています。非親族は、弁護士・司法書士・社会福祉士といった専門職がほとんどですが、最近は一定の研修を受けた一般市民の方が後見人に選任されるケースもあります(市民後見人と呼ばれています)。
これに対し、任意後見を利用する場合は、原則として、ご本人が希望する人を(将来の)後見人に選任することが可能です。もっとも、任意後見を利用する場合には、契約時点でご本人の判断能力が必要です。
〇 後見人候補者について
上で述べたとおり、法定後見の場合、後見人を誰にするかを最終的に決めるのは家庭裁判所ですが、後見人候補を推薦することは可能です。これまで事実上ご本人の財産を管理されてきたご親族が、自らを後見人候補とすることもできますし、家族の中に成り手がなく、非親族に後見人をゆだねざるをえない場合でも、事前に候補者となる専門職とマッチングをして、希望する専門職を推薦することも可能です。
親族間で紛争性がなく、後見人候補者の適正に問題がなければ、候補者が選任されることも多いと思われます。逆に、親族間紛争がある場合や、候補者が高齢や借金問題を抱えているような場合には希望が通らない可能性が高いといえます。このほか、後見人の職務に専門性が求められる場合には専門職後見人が選任されています。
法定後見を選択した場合であっても後見人候補を立てることは十分考えられますので、見通しはどうなるか等、申立前に専門家にご相談いただくとよいでしょう。
〇 費用はどのくらいかかるか
法定後見の場合、後見人の報酬は、後見人の申し立てによって家庭裁判所が決定します。報酬は、ご本人の財産から受け取ります。
親族が後見人の場合は無報酬が多いのではないかと思いますが、申し立てをすれば親族であっても報酬を受け取ることが可能です。
専門職が後見人である場合は報酬がかかります。目安としては月2万円と言われており、ご本人の資産状況によって月1万円~5万円程度の幅があります。また、専門性を発揮する特別な事務を行った場合(不動産の売却、遺産分割など)には通常の報酬に加えて付加報酬が発生することがあります。なお、ご本人の収入や資産が少ない場合には、自治体の報酬助成制度を利用して、自治体が報酬分を出してくれることもあります。
市民後見人については、地域によって無償か有償か分かれているようです。名古屋市における市民後見人は、実費を除き無報酬で活動しています。
以上は法定後見の話ですが、任意後見の場合、後見人報酬は本人と(将来の)後見人との間で決めることになります。ただ、任意後見では、必ず任意後見監督人という任意後見人を監督する人が選任されることになりますので、任意後見監督人の報酬が発生します。この報酬は家庭裁判所が決定しますが、月1万円~2万円が目安と言われています。
執筆者プロフィール
弁護士 杉山 苑子