年金証書と受給後について
障害年金の受給が決定すると、自宅に直接年金証書が送られてきます。年金に馴染みのない方は初めて受け取るものなので、これは何だろうと思う方も少なくありません。
青い部分は、年金証書です。その下は決定通知書となっており、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲにはそれぞれ様々な情報が記載されています。
1.年金証書
I 厚生年金保険年金決定通知書
厚生年金保険に加入中に初診日がある場合は、ここに年金額が記載されます。
年金額の根拠になった加入期間の内訳や平均した標準報酬月額が書かれています。国民年金加入時に初診日がある場合は、この部分の記載はありません。
① 支払開始年月日……障害厚生年金の支払いが開始される年月です。
② 基礎となる年金額……標準報酬月額や厚生年金への加入月数を元に算出された、基本的な年金額です。
③ 加給年金額または加算額……障害厚生年金2級または1級となった場合、年収850万円未満かつ65歳未満の配偶者がいる場合には加給年金が支給されます。また、年収850万円未満かつ18歳年度末までの子供がいる場合などには子の加算額が支給されます。
④ 年金額……基本となる年金額に加算額などを合わせた最終的な障害厚生年金の年額です。障害厚生年金1級、2級の方は、これと障害 基礎年金の年金額と合わせた額が、障害年金の年額となります。
Ⅱ 国民年金決定通知書
厚生年金保険に加入中に初診日があり2級以上の場合、国民年金加入中に初診日がある場合や20歳前等に初診日がある場合は、ここに年金額が記載されます。
① 支払開始年月日……障害基礎年金の支払いが開始される年月です。障害厚生年金の支給がある場合は、基本的に同じになります。
② 基礎となる年金額……国民年金の基本年金額は固定です。
令和4年度の基本年金額は障害基礎年金1級 972,250円障害基礎年金2級 777,800円
③ 加算額……年収850万円未満かつ18歳年度末までの子供がいる場合などには子の加算額が支給されます。
④ 年金額……基本となる年金額に加算額などを合わせた最終的な障害基礎年金の年額です。障害厚生年金がある場合は合わせた額が、障害年金の年額となります。
Ⅲ 障害基礎年金の障害状況
Ⅲには①障害の等級、②診断書の種類、③次回診断書提出年月があります。
① 障害の等級
決定された障害等級が記載されます。
1~3級と各等級の障害の状態を表す数字が〇号と載ってきます。
1級は国民年金法施行令で定められた1~11号
2級は国民年金法施行令で定められた1~17号
3級は厚生年金保険法施行令で定められた1~14号 となっています。
例えば、精神遅滞で2級と決定した場合は、2級16号と記載されることが多いです。
② 診断書の種類
更新の時に提出する診断書の種類(番号)が記載されます。
診断書の種類は次の通りです。
上の表からみると、精神の場合は7になります。
また、この番号は次回の更新の時にどの診断書を提出するか示しているので、例えば、最初の請求で二つの病気により2種類の診断書を提出した場合、次はどちらの診断書を提出すればいいのかわかります。
① 次回診断書提出年月
ほとんどの障害の場合、固定されることはなく、1~5年の有期の認定がされます。例えば、次回診断書提出年月が令和6年7月となっている場合の7月はお誕生日月です。更新の診断書(障害状態確認届)は、更新年月の3カ月前にご自宅に郵送されます。提出期限はお誕生日月の末日ですので、それまでに受診し、主治医に診断書を書いてもらい提出しましょう。
例:令和6年7月更新
障害状態確認届(診断書)が4月頃に届きます。
⇒主治医に障害状態確認届(診断書)を書いてもらい、7月末までに日本年金機構に郵送にて提出します。年金事務所に持っていくことも可能です。
2.受給後について
障害年金を受給し、次の更新までの間は家族構成等などに変更がなければ特に手続きをすることはありません。
何年後かの更新の時に備えて、主治医に病状の変化を的確に伝えることや頻繁に受診の必要がない障害の場合は、更新年月を前3カ月以内の予約を取るか障害状態確認届が届いたらすぐに受診の予約をするとよいです。
また、更新までに病院を転院したり、主治医が変更になることがあるので、最初に提出した請求書類は年金機構に提出する前に写しを取ります。特に診断書の写しは、障害状態確認届を書いていただく主治医に資料として添付するといいと思います。
執筆者プロフィール
社会保険労務士 二階堂 麻衣子