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お知らせ・コラム

成年後見制度のポイント その1

2023.02.01

コラム

成年後見制度のポイント その1

このコラムをご覧の皆さんは、後見制度についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。

もしかすると、硬直的、使い勝手が悪いという話を耳にして、制度利用を躊躇したり、回避したいと思われているかもしれません。
こうした批判が妥当する面もありますが、事前の調整や様々な工夫によって不安を解消・軽減できる可能性があります。また、ご本人の権利を保護する観点から、制度利用が望ましい場合もあります。

後見制度のポイントを押さえていきましょう。

〇 後見制度とは

後見制度は、自分では財産を管理することが困難であったり、身の回りの世話に支援が必要な方について、家庭裁判所によって選任された支援者(後見人など)が、ご本人に代わって財産管理や福祉サービスを利用することなどを通じて、ご本人を法律的に支援・保護する制度です。

 

〇 どんなときに利用されるか

後見制度を利用するためには家庭裁判所への申立てが必要です。

通常は、何らかの事情により後見制度を使う必要が出てきた場合に申立てを検討します。例えば、長年、障害のあるお子様の金銭管理をご両親が行っていたところ、急な病気で、あるいは、高齢のため、ご本人の財産を管理できる人がいなくなってしまったような場合です。また、家族に相続が発生したり、ご本人が交通事故・介護事故に遭ったりして、法的な課題の解決が必要となった場合にも利用されます。

 

〇 後見の種類

後見制度は、正式には「成年後見制度」といいます。

成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。法定後見制度は、すでに判断能力が低下し、支援が必要な方について利用されるもので、一般に「後見」と言われるときは、法定後見制度を指していることが多いです。これに対し、任意後見制度は、将来ご自身の判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ信頼できる人に後見人を依頼しておく制度です。法定後見はすでに発生している課題に対応するための制度、任意後見は将来発生するであろう課題について事前に備えておく制度とご理解ください。

法定後見には、ご本人の判断能力の程度に応じて、さらに3つの類型があります。判断能力の低下が大きい順に「後見」、「保佐」、「補助」があり、それぞれの支援者を「成年後見人」(単に後見人と呼ばれることが多いです)、「保佐人」、「補助人」といいます。

以前は圧倒的に「後見」の利用が多かったのですが、近年は、ご本人の能力に応じた支援をするべきとの視点から、「保佐」「補助」の利用件数も増加しており、本人意思の尊重が強く意識されるようになってきています。

 

〇 誰が申し立てるのか

後見の申し立てをすることができるのは、配偶者や一定の範囲(四親等内)の親族などです。ご本人から見て、夫や妻、親や子、きょうだい、甥姪、いとこなど、比較的広い範囲の親族が申立人になることができます。また、ご本人の判断能力の程度にもよりますが、後見制度の利用について理解ができる方については、自分自身が申立人となることもあります。

後見の利用が必要であるにも関わらず申立人となってくれる人が見つからない場合には、市区町村長が申し立てをすることもあり、市区町村長による申し立ては年々増加しています。

〇 後見人選任までにかかる時間

後見人が選任されるまでには、資料を準備する時間と、裁判所が審査をする時間が必要です。

事案によりますが、資料の準備には1か月以上かかることが珍しくありません。また、裁判所の審査期間は1か月以内が約42%、1か月~2か月以内が約33%となっており、残り約25%は更に時間がかかっています。

このように、後見人を選任しようとすると数か月単位で時間がかかることが見込まれますから、ある程度時間に余裕をもって準備を進める必要があります。

 

執筆者プロフィール

弁護士 杉山 苑子

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