20歳前障害の制限 その1
障害年金をもらうためには大切なポイントがあります。
※2020.12.10コラム「障害年金とは」参照
その中の1つに「保険料を納付していること」がありますが、20歳前に初診日がある人については、保険料の納付要件は問われません。
つまり、国民年金を支払っていなくても受給できるということです。
しかし、年金を支払っていない分、支給制限があります。
その支給制限についてお知らせします。
障害状態が該当しなくなった場合は、当然受給はできなくなりますが、そのほかに下記の3点の支給制限があります。
支給制限について
1.所得による支給制限
2.恩給や労災保険の年金等を受給しているときの支給調整
3.海外に居住したときや刑務所等の矯正施設に入所した場合の支給制限
今回は、1.所得による支給制限を説明します。
所得による支給制限
受給者本人の前年の所得額が4,721,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となります。
(下記の図参照)
令和3年の制度改正により、支給停止となる期間は、10月から翌年9月までとなりました(それまでは、8月から翌年7月でした)。なお、この改正に伴い、令和2年度の支給対象期間は、『令和2年8月分から令和3年9月分まで(14カ月分)』とされています。
【単身の場合】
扶養親族がいる場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円(※)加算されます。
【扶養親族が一人いる場合】
(※)対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円が加算され、特定扶養親族であるときは1人につき63万円が加算されます。この扶養親族の年齢や扶養状況は、前年12月31日でみます。
では、ここでいう「所得」とは何を指すのでしょうか?
この所得とは、前年の所得のうち、地方税法に掲げる道府県民税についての同法、その他の道府県民税に関する法令規程による「非課税所得以外の所得」となっています。
非課税所得の例
非課税所得とされる主な所得とは、
- 障害年金、遺族年金
- 健康保険、国民健康保険、雇用保険の保険給付等
- 生活保護のための給付
- 相続、遺贈または個人からの贈与により取得するもの
- 宝くじの当選金
などがあります。
その他にもありますが、上記以外の所得がここでいう「所得」となります。
なお、前年所得は日本年金機構で確認できますので、所得による支給制限については支給停止や支給停止解除にかかる特別な届出の必要はありません。
執筆者プロフィール
社会保険労務士 二階堂 麻衣子