障害年金の額
障害年金は、生活保障です。
では、どのくらいの金額が年間に受給できるのでしょうか?
以前のコラムの中のポイント1で初診日のお話をしましたが、この初診日にどの年金制度(国民年金、厚生年金保険、共済年金)に加入しているかで受給額が変わってきます。
1.障害基礎年金
障害基礎年金の額:初診日が国民年金または、20歳前の人
障害等級 | 年金額 / 月額 |
障害基礎年金1級 | 年間約97万5千円 / 月額約8万1千円 |
障害基礎年金2級 | 年間約78万円 / 月額約6万5千円 |
障害基礎年金の子の加算
18歳年度末(高校卒業時)までの子供がいる場合は子の加算が付きます。
また、子供が障害等級2以上であれば、子の加算は18歳年度末から20歳まで延長して支給されます。
子の数 | 年金額 / 月額 |
1人目、2人目の子 | 一人につき年間約22万円 / 月額約1万8千円 |
3人目以降 | 一人につき年間約7万2千円 / 月額約6千円 |
2.障害厚生年金
障害厚生年金の額:初診日が厚生年金保険、共済年金の人
障害厚生年金は、その人の平均標準報酬額(厚生年金保険料の計算の元となる額)や厚生年金に加入していた期間などによって年金額は変わります。
障害等級 | 障害厚生年金の額 |
障害厚生年金1級 | 平均標準報酬額×(5.48÷1,000)×被保険者期間の月数 ×(125÷100)+配偶者加給年金額 |
障害厚生年金2級 | 平均標準報酬額×(5.48÷1,000)×被保険者期間の月数 +配偶者加給年金額 |
障害厚生年金3級 | 平均標準報酬額×(5.48÷1,000)×被保険者期間の月数 |
*被保険者期間の月数が300に満たないときは300とします。
*障害厚生年金3級には、最低保証額(年間約58万円/月額4万8千円)があります。
*障害厚生年金3級の下に障害手当金があります。障害手当金は、障害厚生年金3級にも満たない場合で、症状が固定した場合です。
配偶者加給年金
配偶者がいる場合は配偶者加給年金額が付きます。
ただし、障害厚生年金3級の人には配偶者加給年金はありません。
子の数 | 年金額 / 月額 |
1級・2級 | 年間約22万円 / 月額約1万8千円 |
3級 | なし |
*配偶者加給には配偶者の収入などの条件があります。
3.障害年金額の図
4.障害厚生年金2級を受給した請求事例
35歳男性 既婚 家族:パートタイマーで働く配偶者と生後6ヵ月の子供一人
小さな頃から他人とうまくコミュニケーションが取れず、良好な人間関係が作れなかった。こだわりも強かった。大学を卒業し、大手企業に就職したが、同僚、上司とのコミュニケーションがうまくいかず、仕事上もミスが続き、よく注意されていた。だんだんと気持ちが沈み、欠勤が続いていたところ、会社から休むなら診断書を取ってほしいと言われ、精神科を受診した。
うつ状態と診断され休職した。その後、定期的に通院するうちに、発達障害と分かり、うつ病も治らないため仕事にも復帰できず、障害年金を請求することになった。
初診日:厚生年金保険
決定等級:障害厚生年金2級
支給額:障害厚生年金 約48万円/年額
障害基礎年金 約78万円/年額
配偶者加算 約22万円/年額
子の加算 約22万円/年額 合計 約170万円/年額
毎月、親亡きあと、親の支援なきあとのコラムについて更新しています。
来月は民事信託に関するコラムを掲載予定です。
執筆者プロフィール
社会保険労務士 二階堂 麻衣子